交通事故慰謝料は3基準ある

まず、この項目では後遺障害の残らない通常の人身事故の慰謝料について記述しています。後遺障害が認定された場合、この慰謝料とは別に後遺障害に対する慰謝料が請求できます。つまり、後遺障害が残る交通事故の場合通常の慰謝料と後遺障害の慰謝料で2種類の慰謝料を請求できるのです。  

自賠責保険の慰謝料基準
現在自賠責保険では120万円を上限に傷害慰謝料は1日当たり4,200円とされています。
基準となるのは、実際に入院・通院した「実治療日数×2」と、治療開始日から症状固定を含む治療終了日までの「治療期間」で少ない方に4200円をかけて算出します。
任意保険の慰謝料基準
任意保険の運用規定にしたがって算出すします。運用規定は保険会社により違いがありますが、各社大きな違いはありません。
基本的には、入院の期間、通院の回数など治療に要した期間を軸にケースごとの事情や症状など様々な要因を考慮して慰謝料の算出が行われます。そのため、案件ごとにばらつきは出ますが自賠責保険基準の1.6〜1.8倍程度が慰謝料の上限と考えていいかと思います。
ばらつきが出る理由を挙げるとすれば、骨折と打撲では精神的苦痛は違います。痛み、治療期間中の制約も違います。傷が残るようなけがを負ったとすればその部位や範囲、受けた人によって精神的苦痛は変わってくるからです。
弁護士会(裁判)の慰謝料基準
判例をに基づいた、慰謝料基準といえます。また、前述の二基準に比べて最も高額な慰謝料基準ともいえます。
ずばり、この基準で慰謝料請求をしたいのであれば、弁護士に依頼するべきです。当然、その場合には相談料から、着手金、成果報酬までを考えなければなりません。ひどい後遺症が残る場合や死亡事故など多くの慰謝料が見込まれるような交通事故でない場合は難しいかと思います。

後遺障害の慰謝料について

上記慰謝料とは別扱いで、後遺症が残り、後遺障害と認定された場合「後遺障害等級」を基準とし、後遺障害に対する慰謝料を請求できます。これは後遺症が残ったことに対する精神的苦痛対する慰謝料です。

この慰謝料に関しては、受傷後半年以上が経過して、治療が終了し症状固定となるころに後遺症認定の手続きをする旨を伝えると対応してくれるはずです。 基本的には症状が固定してからの手続きとなり、明らかに後遺障害に該当するであろう場合は保険会社から案内があると思います。

後遺障害の基礎となる慰謝料や労働能力喪失率などは、等級に応じて定められています。認定された等級によって大きく損害賠償請求額が変わってきます。症状と認定された等級が妥当なのか疑問がある場合や、自覚症状があるにもかかわらず後遺障害が認められない場合は、異議申し立てをする事ができます。その場合、専門家に相談することを選択肢に加えてもいいかもしれません。

物損事故の慰謝料は?

物損事故の慰謝料は認められません。「大切にしている愛車を傷つけられて精神的苦痛を受けた!」と主張すれば慰謝料が認められそうに思いますが、モノは賠償すれば精神的苦痛はなくなると考えるようです。全損となって、時価額の賠償となるようなケースであれば慰謝料が認められてもいいようにも思いますが、現実は難しいといえます。

そのため、軽度な接触事故などでは先にも触れた過失割合も影響して、被害者にもかかわらず金銭的な負担を強いられることがありるのです。こういった事態を避けるため、しっかりとした知識を身に着けなければいけません。詳細は全損でも損をしない方法のページで。